「バレエ」と聞くと、「くるみ割り人形」や「白鳥の湖」といった舞台作品を思い浮かべる方が多いと思います。
けれど実際には、ダンサーたちはクラスレッスンと呼ばれる日々の基礎練習に、多くの時間を費やしています。
このクラスレッスンでは、基礎的な身体の使い方や、さまざまなステップを一つひとつ分解して練習していきます。
その場で踊るための音楽を提供する役割を担っているのが、
バレエのレッスンピアニストです。
ダンサーにとってのクラスレッスンは、
ピアノ弾きにとってのハノンやツェルニー、
声楽ならコンコーネ、
ヴァイオリンならスズキ・メソード?
そんな位置づけに近いかもしれません。(ちょっと違うかもしれないけれど)
ピアノ弾きが毎日弾く前にやる指慣らしとかウォームアップと、今弾いている曲の部分練習みたいな感じです。
クラスの中では、先生が次々に異なるタイプのステップや振付を提示します。
それを見ながらピアニストは、
- どんなテンポがいいか
- 拍子はどうするか
- 雰囲気は明るく?しっとり?
といったことを判断して、曲を弾いていきます。
1曲の長さはだいたい32〜64小節程度。
短い曲ですが、小さな子どものクラスでも15曲前後、
上のクラスになると20曲以上必要になります。
そのため、レッスンピアニストには幅広い音楽の引き出しが欠かせません。
日々「これは使えそうだな」という曲を探し、
バレエクラス用に少しアレンジして、自分のレパートリーに加えていきます。
使われる音楽は本当にさまざまです。
- ワルツ、ポルカ、マズルカ、ポロネーズ
- タランテラ、マーチ、バルカローレ
- ガヴォットやジーグなどのバロック音楽
- ハバネラ、タンゴなどのスペイン・ラテン系
- ラグタイムやスウィング期のジャズ
- クラシックはもちろん、ミュージカル、ジブリ、ディズニー
人によってはポップスや昭和歌謡を弾くピアニストもいます。
つまり、踊りに合っていればジャンルは何でもあり。
ただし、楽譜通りにそのまま弾くことはほとんどありません。
踊る身体の動きに寄り添うために、
- メロディをシンプルにしたり
- 逆に音数を増やしたり
- 3拍子の曲をゆったりした4拍子に
- 2拍子(4拍子)を3拍子に変えたり
と、常にアレンジしながら演奏します。
こうしてバレエのクラスレッスンを盛り上げ、
ダンサーたちの毎日を音楽で支えているのが
バレエのレッスンピアニストという存在です。
発表会や公演のリハーサルが始まれば、その曲も弾けるようにして練習の手助けをするのですが
それについてはまた次の機会にしましょう。
それでは。
バレエクラス・即興演奏担当 伊藤郁馬



